関節リウマチの原因について

関節リウマチは自己免疫疾患の一種です。
本来はウイルスや細菌などの外敵を攻撃するはずの免疫システムが誤作動を起こして、自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患です。
関節リウマチの場合は、主に関節が攻撃されます。
関節内の滑膜と言う部分に炎症が起きるため、関節のこわばりや関節痛、倦怠感や発熱などの症状で受診される人が多いです。
どうして免疫システムの誤作動が起きるのかといった深いところまでは、まだ原因が解明されていません。
しかし、関節リウマチになりやすい人は判ってきました。
また、なぜ免疫システムの誤作動が起きるのかについても、いくつかの説があります。
関節リウマチになりやすい人は次のような人です。
まず、喫煙者があげられています。
タバコは百害あって一利なしと言われるように、関節リウマチにおいても発症リスクを上げる原因になると考えられています。
喫煙者は、ぜひとも禁煙してください。
歯周病も、関節リウマチの発症リスクを上げる一因だと考えられています。
そして、女性ホルモンが発症と何らかの関係があるという考えが有力視されています。
関節リウマチの患者さんの男女比を見ると女性は男子の約5倍と、圧倒的に女性に多いです。
出産後や更年期の女性がなりやすい傾向があることが、判っています。
関節リウマチは遺伝病ではありませんが、家族や親戚に関節リウマチや膠原病の人がいる場合は、若干、発症リスクが高くなります。
関節リウマチの発症に関与する遺伝子は、いくつか見つかっていますが1つだけの遺伝子で発症するのではなく、いくつかの遺伝子が組み合わさって発症に関与していると考えられています。
しかし、どのような組み合わせなのかは、まだ解明されていません。
関節リウマチはこれらの遺伝的な因子に、タバコや歯周病やホルモンの変動やストレスや過労などの環境的な因子が複雑に絡み合って発症するのではないか、という考え方が一般的で有力になっています。
関節リウマチは女性がかかりやすい
関節リウマチの患者さんのおよそ8割は女性です。
特に20歳代から50歳代が多く、患者さんの約7割はこの年代に集中しています。
このことから、関節リウマチの発症には女性ホルモンが関与していると考えられています。
特に、出産後や更年期の時期に多い傾向があります。
そのため、関節痛や発熱や倦怠感を更年期のせいだと思ってしまって、酷くなるまで放置している人もおられるのが残念です。
更年期や妊娠や出産の時は、女性ホルモンの変動が非常に激しくなります。
妊娠中は、胎児を外敵だと判断して攻撃してしまうことのないように、免疫が抑制されます。
しかし、出産後はこれが一気にリセットされます。
その変動はまさにジェットコースター並みです。
この時に免疫の暴走が起こりやすく、発症リスクが高くなると考えられています。
また、乳腺刺激ホルモンやエストロゲンには自己免疫の働きを促進する作用や、サイトカインと言う免疫反応を促進する物質を活性化する作用があります。
これらのホルモンも関節リウマチなどの自己免疫疾患の発症に関与していると考えられています。
そして、ストレスや過労も副腎皮質ホルモンの必要量を高めます。
副腎皮質ホルモンはストレスに対抗するために分泌されるホルモンですが、免疫を抑制する働きもあります。
ストレスや過労が続くと必要量に多くなるため、副腎皮質ホルモンが足りなくなってしまいます。
この状態が長く続くと、免疫が充分に抑制できず、誤作動を起こすのではないかとされています。
妊娠や出産は嬉しいことばかりではありません。
不安や苦痛も伴うので、ストレスも大きいです。
また、更年期の時期は親の介護や夫婦間の問題、子どもの進学や就職に伴う悩み、経済的な心配や老後の心配などもあり、ストレスや過労に陥りやすい時期でもあります。
これらのことが複雑に絡み合って、関節リウマチの発症に繋がっているようです。
喫煙者は禁煙し、歯周病は早く治すことが重要です。
近年、関節リウマチの治療は大きく進歩しています。
早期に発見して早期に治療すれば、健康人と変わらない生活を送ることが可能です。
更年期のせいだと決めつけないで、気になる症状があれば早めにリウマチ専門医を受診してください。